2020年10月25日日曜日

電動工具、はじめの1台のおすすめ

DIYを始めて、それが楽しくなってくると、

「もっとたくさん、早く作りたい」

「もっと大きなものを作りたい」

と思う人が多いでしょう。

そういう時にはやはり、 電動工具の導入を考えてみるのもひとつです。

電動工具といっても、たくさんの製品があります。今までそれらの製品の事など全く知らなかった状態で選ぶのもなかなか難しいと思います。長年DIYをしてきた私が見て、これならばおすすめできる、という製品がちょうどありますので、それをご紹介します。

それは、アイリスオーヤマの電動ドリルドライバーです。


アイリスオーヤマ 充電式 電動ドライバー 10.8V バッテリー・充電器付


なぜおすすめするのか、その理由を説明します。

まず、ドライバードリルという製品が、DIYでは出番が多く、色々な役割をして活躍してくれるうえ、危険性が少なく、初心者でも使いこなすのが比較的簡単です。

電動ドリルドライバーは、先端のパーツを取り替えることで、
  • 穴をあける
  • ネジやビスを締める
  • 磨く

という作業ができます。もちろん、電動ドリルドライバーにはこれらの作業ならば全てできるという事ではありません。作業位置や作業内容によっては入り込めない場所や届かない場所もあり、従来どおり手作業でないと行えない作業もあります。しかし、それ以外の作業では、電動ドリルドライバーを使うことで、何度もくり返し作業をしたり、長時間の作業するときにずっと疲れにくく、速くできるようになり、創作の幅が広がります。

同じシリーズで、インパクトドライバーも発売されています。インパクトドライバーというのも、これまたよく聞く名前の工具だろうと思います。見た目もドライバードリルと似ています。ただ、はじめの1台を選ぶならばインパクトドライバーではなく、断然このドライバードリルをおすすめします。インパクトドライバーは、工具のサイズのわりに強力な力を出すことができるのですが、その反面微妙な力加減ができません。また、インパクトドライバーですとドリルを装着して穴を開けたり、研磨用パーツを取り付けて磨いたりといった作業は基本的にはできません。簡単に言うと、ドライバードリルのほうが、守備範囲が広くてオールラウンドです。

電動工具に興味が在るけれどどこから手を出して良いのか分からない、という人は、とりあえずこの1台、ドライバードリルから試してみると良いでしょう。

そしてその中で、価格が安くて性能が良いのがこのアイリスオーヤマの製品です。

手軽に購入しやすい価格に対して、これで良いのかと思うほど機能や性能が優秀です。要するにコスパが非常に優れています。

具体的にどういうポイントが優秀かというと
  • トリガーの引き方により回転速度が変わるスピードコントロール
  • 継ぎ足し充電可能なリチウムイオンバッテリー採用

これらです。これらの仕様は、従来の安価な製品には無かったスペックです。これらの仕様を備えてこの価格というのは、今までの常識からすると衝撃的ですらあります。

価格だけで言えば、最近では中国の製品で同等のスペックでより安価なものもあります。しかし信頼性とアフターサービスのことを考えれば、このアイリスオーヤマの製品は無双状態です。

私がDIYを始めた頃には、こんなに安くて良質な製品など存在していませんでした。プロ向けのもっと高価な製品ですら、この製品に負けている製品は数多いと思います。バッテリーは継ぎ足し充電のできないニッカドでした。電圧はこれよりも高い12Vでしたが、モーターの効率が今ほど良くはなく、実際に出せるパワーはこの10.8Vと変わらないか、むしろ劣っていた事すら考えられます。この製品は、あらゆる面でとは言いませんが、確実にいくつかの点では、当時のプロが使っていた、一流の電動工具をも上回っている部分があります。

こんな製品が売り出される様になった事に驚きも感じていますし、私がDIYを始めた頃にもこんな製品があれば良かったのになあ、とも思っています。初心者でもこんな低価格でこれだけ良質な電動工具にかんたんに手が出せるのは、DIYを取り巻く環境がとても良くなったと思います。工具の生産や流通は日進月歩で進歩しているものですが、すごいレベルに達したものだと思います。

今の私は、マキタという別のメーカーの、ブラシレス方式という高級仕様の製品を使っています。今はもうアマチュアのDIYではなく、工事現場で使う機会もあるからです。もちろんマキタのブラシレスモーター方式の製品は高性能です。しかしこのアイリスオーヤマの製品のほうが、コスパでは上回っていると感じます。私自身も、もしも工事で使う事などなくDIYでしか使わないのであれば、高価なマキタ製品など買う事はなく、間違いなくこのアイリスオーヤマ製品にしているところです。

電動工具の最初の一台で迷っている人には、この製品がイチオシです。

2018年1月3日水曜日

ネジの頭の種類(その1)

ネジの頭には様々な形状があります。
それぞれの形状には特徴や機能があり、用途にマッチさせた使い分けがあります。
小さなホームセンターや金物屋さんの売り場でも大体手に入る、メジャーな種類のものと言えば、
  • なべ
  • トラス
  • 六角
の4種類です。
 他にも種類はありますが、売り場の小さなホームセンター等でも比較的手に入りやすいものと言えばこれらです。
 ものづくりの現場では、それぞれの形の特性を活かした使い方をしています。DIYでも上手にこだわって使い分けると、より完成度の高い作品づくりにつながるでしょう。
 4種類それぞれの特徴と用途を見ていきましょう。

ネジ頭を突出させたくない場合に使います。頭が収まる様に円錐形に取付部を削ります。この加工をザグリ(又はサラモミ)と呼びます。径が小さく、取り付ける部分の材料が柔らかい場合は、ザグリ加工をせず、締め付けによりめり込ませてネジ頭を沈め込む場合もあります。

なべ

ネジ頭だけでは材料を押さえ付ける面積が小さいため、基本的にはワッシャを併用します。径の比較的大きい木工などでは、筒状のザグリを設けて頭を取付面に沈める場合もあります。

トラス

同じ径のネジだと、なべネジより頭の径が大きく、薄くできています。見た目が良いため、目立つ部分で露出させる場合に活用されたりします。面積の広い頭でしっかり取り付け部分の部材を押さえる事ができるため、ネジ頭側のワッシャを省くのが一般的です。同じサイズの皿ネジやなべネジに比べると単価が高いです。

六角

一般的にはボルトに使われ、木ネジやタッピングネジでは見かけません。また、あまり小さな径のものは一般的には見かけません。プラスネジでなく六角である事から、ボルト側からも、ドライバーに比べてより協力なテコが得られるレンチを使って強いトルクで締める事ができます。

2016年6月10日金曜日

DIYでやってはいけないこと

DIYでは、ただ作品を完成させるという事だけでなく、出来上がったものを自分で使ったり、家族や友人などに使ってもらったりする事もできます。そうした実用性の部分も大きな魅力のひとつです。プロが作ったものや、工場で作られたものに比べて多少下手であったとしても、そういった部分がむしろ手造りの味を感じさせ、楽しみや愛着の要素となる事もあります。

しかし、安全管理や法令遵守に関しては、プロと同じ様にきちんと行わないと、単に仕上がりが上手だとか下手だとかというだけでなく、取り返しのつかない事故が発生する場合や、法令違反になってしまう場合があります。ここに関しては、いくら素人だからといって、大目に見てもらえない部分がかなりあります。

今後DIYに本格的に取り組んで行こうと考えている人には、そうした、危険やコンプライアンス違反に関する理解が欠かせません。どういう行為が事故の原因になるのか、あるいは法令違反になるのか、という事について、基本的な事はきっちりチェックして、日頃から意識しておく事をぜひともお勧めしておきます。

一般的なDIYで日常的によく起こりがちな事故の原因や法令違反に関して、ここでは紹介しておきます。

 

電気工事


電気工事は、不適切な施工が行われてしまった場合、DIYを行った人自身やその周囲の人が感電してしまう場合があります。その他に、火災が発生してしまう危険もあります。電気工事に関しては、電気工事士法という法律があり、電気工事士という国家資格があります。電気に関して試験に合格できるだけの十分な知識と施工技能がある人だけがその国家資格の免許保持者となり、施工をして良い事になっています。

ただし厳密にいえば、無免許の人でも禁止されていない部分があります。しかし、その範囲はあまりにも狭く、実質的には無免許の人は電気工事をするな、と言っているのとほとんど変わらない様な状況です。

例えば、古くなった家庭の既設のスイッチやコンセントを新品に交換するだけの工事や、引掛けシーリングでない、電力ケーブルを直接接続するタイプの照明器具を取り外して別の器具に新旧交換するという、たったその程度の工事であっても、無免許で行えば違法だと法律を解釈するのが一般的です。

そしてもし、たまたま免許が不要な範囲の作業しか行わないのだとしても、施工方法が不適切であれば火事や感電などの事故が発生する危険はあります。ですから必然的に、免許が不要だったとしても、工事に関する知識はちゃんとしたものが必要です。その工事を適切にこなせるできるぐらいの知識がもしもあるのならば、あとほんの少し勉強をする程度で第二種電気工事士の免許は取得できてしまいます。ですので無免許のまま、わざわざ勉強して無免許で可能な範囲の工事を適切に行う、という事にはあまりにもメリットがなく、実際にやっている人もほぼ居ません。

ホームセンターに行けば、スイッチやコンセントの部品、ケーブル、照明器具といった各種の電材や、電気工事用の工具も売っています。これらのものは、いくら手軽に買えるような売り方をしているからといって、無資格者がそれを使って作業して良いという事ではありません。無資格者が材料や工具を買うだけで違法だという訳ではありませんが、その買ったものを使って工事をしたいのならば、有資格者に頼んで代わりに工事してもらう事が必要になります。売り場に、これらの商品の取付作業には電気工事士免許が必要だという旨を表示してある店舗も多いです。

 詳しい情報はこちら
外部リンク「 電気技術者試験センター」
http://www.shiken.or.jp/range_qualification/03.html

丸のこやグラインダーを使った作業


丸のこやグラインダー、その他振動を発生する電動工具などを仕事の業務で使用する人には、厚生労働省が定める安全教育や特別教育を受講し、その証明書を携帯する事が義務づけられています。現在のところ、この義務づけは業務中の労働として使用する場合に限られており、家庭内のDIYで使用する場合には義務づけられていません。

この辺りの情報が正しく伝わらずに「DIYをやる人が、法定の教育を受講せずに電動工具を使うのは、お目こぼしされているけれど本当は法律違反だ」という、もっともらしい噂も時々流れたりする様ですが、この噂は正しくはありません。DIYの範囲でならば、法定の教育を受講せずに電動工具を使ったとしても、特にお目こぼしという事でなく、はじめから法律違反ではありません。

しかし、はじめはちょっとしたDIYのつもりで作業していても、そのうち人から頼まれてお金をもらって作業をしてしまった、という場合はどうなるでしょうか。そういう場合は、業務と呼ぶ程の規模、金額、反復継続しているかどうか等が個別の事例に関して総合的に加味されて判断される事になります。この状態は、誰が見ても明らかに合法だと言える状態ではなく、違法と判断される可能性があるという事です。いわゆるグレーゾーンです。グレーゾーンであると言うことは、場合によっては違法と判断され、法律による処分を受ける可能性があるという事です。そこから人生が思わぬ方向に変わってしまう事もあり得ますので、受講済みでない人は、人からお金をもらって電動工具を使った作業をしないようにするか、あるいはきちんと受講をして、業務だと解釈されても問題がない様にしておきましょう。

また、受講せず電動工具を使うとなると、正しい操作方法や適切な作業方法を知っている人から教わったりする機会がないまま、ぶっつけ本番で使ってしまう事もあり得ます。これは危険を伴いますし、事故が発生した場合には使用する本人をはじめ、周りにいる人々が取り返しのつかない大怪我をしてしまったり、大事な財産に損害が発生してしまったりする場合も考えられます。その後の人生を大きく変えてしまう事もあります。制度としての義務はありませんが、電動工具を使った安全な作業方法を確実に理解しておきたいならば、業務でなくDIYの範囲内だけで使うのであったとしても、教育を受講しておくのがより好ましいと言えるでしょう。業務で工具を確実に使用する人でなければ受講できない、という事はありません。「必ず使うかどうかは分からないけど、これから使うかも知れない」という人でも受講できます。

 
参考(外部リンク)

「厚生労働省」
https://www.tokubetu.or.jp/pdf/20100714.pdf

「安全衛生情報センター」
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-16/hor1-16-1-1-0.htm

足場を組む作業


足場を組み立てたりする業務に就く人は、厚生労働省の定める特別教育の受講が必要です。さらに、一定以上の高さになると組立作業の主任者としてさらに別の講習の修了が必要です。

これらは、現状は業務において労働として行う場合に限られていますので、趣味のDIYで足場を組むという程度では講習の受講は義務付けられてはいません。しかし、足場の倒壊や足場からの転落は本人がケガをするばかりでなく、他人にケガをさせたり、多くの物を破損する様な大きな事故につながる危険性も大きいため、義務が無いとはいえ受講により正しい施工知識を得ておく事が好ましいでしょう。

特に、作業場所と隣家との距離が近いだとか、人や車両が通行する道路が近いといった場合は、作業ミスや不適切な施工によって他人を巻き込んでしまう危険性が大きいです。こういう場合に関しては、いくらDIYの作業だとはいえ、講習を修了して業務で必要とされるレベルの知識をしっかりと持ったうえで行うほうが、安全管理の観点からすると好ましいでしょう。

 参考(外部リンク)

「厚生労働省」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000088456.pdf

2016年5月22日日曜日

壁の「下地」って何?

DIYで、室内の壁に
  • 棚板やフックを取り付ける
  • 薄型のテレビを取り付ける
  • 家具の転倒防止金具を取り付ける

 という事をしたい、というケースはよくあると思います。
この時、よく
「下地のある場所に取り付けて下さい」
と金具やパーツのメーカーから 指示がある事がよくあります。
ではその「下地」って何?と疑問に思った事はないでしょうか。

 なんとなく「丈夫な箇所」「壁のうち物がしっかり詰まっている部分」「ネジが利く箇所」だろうなあ、と、そのネーミングと文脈から感じられます。じつはこの「下地」は、一般的な言葉というよりは、れっきとした建築の専門用語なのです。

そしてその下地の正体を知るには、室内の壁の構造を理解するのが正攻法でしょう。

まず「壁」ですが、建物の外側の壁(外壁)と室内の壁(間仕切り壁)では大きく異なっています。建物の外側の壁は構造も材料も多種多様ですが、いずれにしても雨や風に耐えられる様に、かなり頑丈にできています。

室内の壁は、建物の外側の壁とは違ってそれほど多くのバリエーションがある訳ではなく、我が国の現代の住宅では、ある程度似通った構造のものに集約されています。建物の外壁の裏側(室内側)にあたる部分(「ふかし壁」と呼びます)と、部屋を区切るだけの壁(「間仕切り壁」と呼びます)は、一般的に似たような構造です。話をわかりやすくするために、まず一旦は、中身は同じだ思って下さい。さらに、単に部屋を区切るだけでなく、建物を支える働きに加担している壁が室内にある場合もあります(「耐力壁」と呼びます)。この壁は構造的には外壁に近いものですが、外壁と同様にふかし壁がつく場合もあります。

間仕切り壁はどの様な造りになっているかというと、まず、表面にはだいたい壁紙(ほとんどがビニルクロスと呼ばれる樹脂製)が貼ってあります。


間仕切り壁を上から見た断面図


それをはがすと、石膏ボードという板が貼ってあります。 厚さ1センチぐらいです。たまに2重に貼ってある場合もあります。石膏ボードは、ボッソボソの材質で、他のものに例えるのが難しいですが、敢えて言うとチョークが大きな板になったみたいなものです。燃えにくく、たわみにくく、伸び縮みしにくい、無機質の建材です。ただ、この石膏ボードは、あまり丈夫なものではありません。曲げようとすれば、あまりしなる事なく、普通の人の力で脆くバキッと割れてしまいます。好きな大きさや形に切る事もできます。それには主にカッターナイフを使います。また、ビスを刺そうとすると、グズグズにくずれて穴が広がってしまい、固定が利きません。

壁から石膏ボードをはがすと、壁の骨組みが出てきます。壁の骨組みは、角材(木材)か、あるいは薄い鉄板を工場で折り曲げて作った四角いパイプ状やコの字の断面の棒(軽量鉄骨、鋼製下地、LGS、軽天材など、様々な呼び名で呼ばれる建材です)で主にできています。この骨組みこそがまさしく下地です。

石膏ボードは、この下地に、ビスで止め付けられています。先ほどビスが効かない建材だと書きましたが、このときも、石膏ボードにはビスのネジは効いていません。ビスのネジは、下地に対してのみ効いており、石膏ボードはビス頭によって下地に押し付けられるようにして固定されています。

この下地は、大体垂直の向きに等間隔で入っています。ただし建物の柱や外壁などの形に合わせて融通を聞かせながら調節してあるので必ず等間隔という訳ではありません。そうではありますが、大部分の箇所では、45.5センチ もしくは30.3センチ間隔で入れられています。また、横方向には、天井の際と床の際以外の場所には入っていない事が多いです。

また、新築やリフォーム工事などで、吊戸棚や配管を取り付ける位置が予め設計されている場合は、それらのものをビスで取り付けられる様に、骨組みである下地に、厚めのベニヤ板をプラスアルファで面状に取り付けておく場合があります。このベニヤ板もまた下地です。

それならば、室内壁は石膏ボードなどで作らず、全部ベニヤで作れば良いではないかという風に思う人も居るかも知れません。なぜそうしないかというと、ネジが効くほどの厚みのあるベニヤ板は、石膏ボードよりもはるかに値段が高いのです。なので、確実に必要だと分かっている場所以外には、むやみには使えません。また、ベニヤ板は年月が経つとアクが染み出して来て壁の表面にシミを作る事があるので、それを防ぐために、対策用の塗装を施したり、石膏ボードを上から重ね張りしたり、などの対策も必要になってきます。さらには、建物の設計や部屋の用途によって、法律上、燃えない石膏ボードを使う必要がある場合もあります。

一方で、石膏ボードのほうにも建材として特有の良さがあるのです。ベニヤよりも値段が安い事に加え、燃えない、寸法や形状にばらつきや狂いがなくきっちり揃っている、反ったり伸び縮みしたりという変形が少ない、時間が経っても変質しにくい、臭いや色を染み出さない、切ったり削ったりの加工がしやすい、など、その良さはたくさんあります。

 
下地を探す方法は、

  • 壁をトントンと軽く叩いて、音の違いで探す
  • 細い針を刺す(専用の針が売っています)
  • 専用のセンサーで探す

というものが代表的です。
針を刺す方法では、画鋲より少し細いぐらいの針を刺します。壁紙と石膏ボードは簡単に貫通しますが、下地には刺さりません。その感触を頼りに探します。もちろん小さな穴があくので、その事は承知のうえで針を刺す必要があります。

ところで、下地は、通常壁紙と石膏ボードが向こう側にあるわけです。この壁紙+石膏ボードの厚みは、だいたい1センチか1.3センチぐらいあります。少々特殊なケースでは、石膏ボードが二重に貼ってあって、その厚みが2倍ぐらいになっています。ですので壁にビスを刺したい場合には、石膏ボードの厚みを考慮して、下地まで届くビスの長さを考えましょう。

そして通常の下地は木製・薄い鉄板製のいずれであっても、さほど頑丈にできている訳ではありません。重いものの取り付けや、強い力が掛かるビスの取り付けには向きません。

また、壁の中には、電線が入っている場合もあります。壁の内部の空洞内をブラブラしているだけの場合もあれば、動き回らない様に下地にとめてある場合もあります。この電線にビスを差してしまうと、電気の使用に支障が出るばかりか、短絡・漏電・感電などの事故が起きる場合があり、火災につながる場合もありますので十分注意しましょう。電気のスイッチ、コンセントや、壁に埋め込まれた機器の近くでは、特に電線が通っている場合が多いので細心の注意が必要です。

さて、先程、ふかし壁の例外について少しだけ触れましたが、あらためて詳しく説明します。ふかし壁には、GL工法というものがあります。それは、木材や鋼材で骨組みを組む事なく、コンクリートの躯体壁(外壁や耐力壁など)に、GLボンドと呼ばれるセメントの様なノリを点々とダンゴ状にして厚塗りし、そのノリに石膏ボードを貼りつけ、固まるまでの間に押し込む強さを加減して平面を整え、ふかし壁を作るという工法です。この工法ですと必要な工具が少なく、低コストで施工時間も短いです。また、空間的な制約上、ふかし壁を薄くしたい場合にも有効です。こうした利点に注目が集まり、一時期はとても人気がありました。

しかしこの工法には多くの欠点があります。例えば断熱性が得られませんので、石膏ボードの背後で、躯体壁が結露してしまうという場合がよくあります。また、GLボンド自体に含まれていた水分やがて蒸発した後、躯体壁と石膏ボードの間に閉じ込められ、その空間の湿度が高まりカビが発生する事があると言われています。このように色々な問題点が指摘されている工法です。こうした欠点を補うため、躯体壁に断熱材を貼り付けた上にGLボンドで石膏ボードを貼り付けたり、カビの原因となる湿気を追い出す通気ルートを設けるなどの処置を施したり、という工夫も考え出されました。しかし、そのように丁寧に手間をかければかけるほど、今度はGL工法の持ち味であった低コスト性や工期の短さであったり、あるいはふかし壁を薄くできるというメリットが減少して、本末転倒になってしまいます。なので近年はGL工法を安易に導入すること自体が見直されるという動きもあります。また、残念な話ではありますが、建築をするのは真面目な事業者ばかりとは限りません。GL構法の問題点を知りながら、過剰なコスト優先の為にあえて必要な対策を省いてなGL工法で施工している事業者が全く居ないとは言えません。

特に、80年代~90年代あたりをピークとして、使用されていないマンションは珍しいというほどにまで、大流行していた工法です。中古マンションを買ってDIYでリノベーションをする人は、こうした工法の物件に当たる可能性をふまえて、ぜひ知っておくと良いでしょう。

─これらの道具で下地を探してみよう─


まずは叩いて音を聞くというのが基本。ふつうのハンマーに近い形で使い方がわかりやすい。
TRUSCO(トラスコ) テストハンマー 1/4 TTH-02


もうひとつの打診の定番。このようなボール型のハンマーもある。伸縮タイプでコンパクト。
シンワ測定(Shinwa Sokutei) 打診ハンマー A-1 74102



細い針を壁にプスッと刺して、言われなければ分からないぐらいの小さな穴を開けて、針の感触で下地を確認する方法もある。ハンマーやセンサーで調べて、最後にこれで確認をするという使い方がおすすめ。
シンワ測定(Shinwa Sokutei) 下地探し どこ太 Basic 35mm 石膏ボード用の針式の下地探し マグネット付 79025


センサーの反応で下地を探す探知機。最近、通販サイトでのレビューが急激に下がってしまったが、コロナ禍でにわかにDIYを始めたばかりの超初心者が急増した事と関連がある模様。DIYでも手が届く手頃な価格ながら性能が良く、プロの職人さんでも使っている人は普通に居る。
パナソニック乾電池式 壁うらセンサーEZ3802(単3乾電池2本・別売) 内装材専用 木材・プラスチック・金属探知 EZ3802

2016年5月4日水曜日

塗装は気長に重ね塗り

塗装をしていると、思っていた様な色がしっかり着かず、下の色が透けてしまう事があります。特に、下地が濃い色の所に、白っぽい色の塗料を塗ろうとする場合には、そうなってしまいやすいです。これは通常仕方のない事で、自分が下手だからとか、使っている材料が安物だから、という事ばかりが原因ではありません。
これに対処するためにどうするのかというと、2回、3回と重ね塗りをすると、だんだんと下の色が透けなくなってきます。プロの塗装屋さんであっても同様に行う場合があります。
さらにプロの塗装屋さんは、1回目、2回目、3回目と、ただ単に重ね塗りをするばかりでなく、材質の異なる塗料で重ね塗りを行うのが通常です。塗料を塗面にくっつきやすくしたり、塗面の素材がもつ色の成分が染み出してくるのを防いだり、サビを防いだり、色をつけたり、光沢を調節したりと、それぞれ違った機能を持つ塗料を選び、はじめからそういう計画を立てて塗っているのです。ここまでやるには若干高度な知識や技術、そして道具や材料が必要です。
また、もうひとつ細かいことを言えば、 場合によっては、何度も塗り重ねるのではなく、一発で厚塗りに仕上げたほうがきれいに仕上がるものもあります。とはいえ、それはプロが塗装する様なケースであり、ホームセンターで手軽に買えるペンキを使い、自作の木工品や古くなった家具の塗り替えをする様な場合は、その様に一発で仕上げた方が良い場合は稀です。ここでは、DIYのビギナーが行う場合の一般的な手法について説明します。

同じ色で塗り重ねる

一回塗ってみて、下の色が透ける場合や、十分に色が付かないと感じる場合、同じ色で塗り重ねてみましょう。塗料の種類によっては、1回目に塗った塗料が乾く前に2回目を塗ってしまうと表面が荒れてしまう場合がありますので、よく注意し、場合によってはよく乾いてから2回目を塗りましょう。
オイルステインの様に、塗面に浸透させたり、あるいは塗面の肌合いを残す様なタイプの塗料の場合、2回3回と塗り重ねによって色の付きが濃くなります。しかし一定回数以上塗り重ねても塗り重ねによる変化はあまり分からなくなってきます。塗料の種類や色を選定する時に頭に入れておきましょう。

異なる色で塗り重ねる

塗面の素地の色とは全く異なる色を塗る場合や、鮮やかな色を塗りたい場合に、塗面の元の色が透けて、思い通りの色に仕上がらない場合があります。
この場合、例えば白の塗料などで下塗りすると、思った通りの色に仕上がる場合があります。ただし、必ず白で下塗りをすると思った通りの色に仕上がるとは限らないので難しい所ではあります。
ひとつの選択肢として頭に入れておくと良いでしょう。
また、少し意味合いは異なりますが、上に書いた通り、プロは機能の違う塗料で重ね塗りをします。その時に、塗り忘れを防ぐために、塗った部分とまだ塗っていない部分とを区別しやすい様に、わざと少し違う色の塗料を選択する場合がよくあります。

材質の異なる塗料で塗り重ねる場合

DIYで行うには、少し高度なプロの技法です。
 一般的には、
  • 下塗り→中塗り→仕上げ塗り
  • 下塗り→仕上げ塗り
といった、2~3回で仕上げます。なかでも3回塗りというのは、プロによる場合でも、しっかりとコストをかけた丁寧な仕上げという感覚が強いです。

2回塗りの場合、上塗りには、目的の色を表現するための塗料を使います。
下塗りの選び方として、
  • 木やコンクリートなど、染み込む素材→「シーラー」という塗料を使う
  • 金属やガラスなど、染み込まない素材→「プライマー」という素材を使う
というのが最も基本でおおまかな考え方です。
シーラーは、細かい穴を埋めて塗料の染み込みを止めたり、素材からの色素成分の染み出しを防いだりという機能があります。プライマーには、ツルツルして塗料が定着しにくい塗面にしっかりとくっつき、仕上げ塗料を剥がれない様に乗せるという機能があります。

さらに、塗料の材質によって、塗面との相性、塗料同士の相性、耐久性などの違いがありますが、高度な話になるので別の機会にします。

2016年5月2日月曜日

ねじの種類(小ねじ/ボルト/タッピングねじ/木ねじ/コーススレッド)

ねじには様々な種類があります。小さくて品揃えの少ないホームセンターでも、
  • 小ねじ
  • ボルト
  • タッピングねじ
  • 木ねじ
  • コーススレッド 
これぐらいの種類は売られているのが一般的です。ねじの形状の違いや使い分けに関しては、まずねじには非常に多くの種類があり、スペックの項目も多岐にわたり、その使い分けも奥が深いものですが、ここでは一般的なDIYの愛好者にちょうど良い粒度・深度の説明を目指しました。
それぞれのねじには特徴や特性があります。適切に使い分けワンランク上のDIYを目指しましょう。

小ねじ

小ねじの写真
円筒形の本体に溝が切ってあり、頭が付いています。頭は、プラスやマイナスのものが一般的です。頭と反対の側からナットを通して材料を挟んで締め付けるか、あるいは予めネジが切られた穴に締め込んで使われます。ポイントは、ナットであれ、取り付け部分であれ、いずれにしてもあらかじめねじ山の切ってあるねじ穴に差し込んで使われるという点です。木などの材料にねじ込んで、ネジ自体がネジ山を切りながら材料を固定するというタイプのねじではありません。

ボルト

ボルトの写真
全体的には小ねじとほぼ同じです。頭の形が皿/なべ/トラスなどのものが小ねじと呼ばれるのに対し、頭の形が六角/キャップなどのもの、あるいは頭がない寸切のものは一般的にボルトと呼ばれています。

タッピングねじ

タッピングねじの写真
頭は小ねじに似ていますが、先端が尖っています。通常は、ネジの太さよりも少し小さく開けた下穴に刺し、回転しながら進んで行く事で固定する相手の材料にネジ山を刻みながら、締結します。ホームセンターに常時在庫してある製品などの一般的なものは、ネジの先端から頭の際までネジ山が付いています。この事を「全ネジ」と呼びます。材料が硬すぎるとネジを切り進む事ができません。逆に極度にもろくて欠けやすい素材や、柔らかい材料の場合は緩みや抜けが生じやすいためネジとしての緊結性を発揮できず、使えない場合があります。適度な硬さ・丈夫さのある材料に対して有効です。もともとは薄い鉄板など、金属の材料を締結する用途を想定したものの様ですが、きちんと締めつける事ができる素材であればそれ以外の、木やプラスチックの材料にも使えます。

木ねじ

木ねじの写真
全体的にタッピングネジと似ています。 タッピングネジとの違いは、タッピングねじが全ネジであるのに対し、木ねじは先端から2/3程度までしかネジ山がついておらず、ネジ頭近くはネジ山がありません。タッピングの様に、先端からネジ頭のキワまでネジ山があるものを「全ねじ」と呼ぶのに対し、「半ネジ」と呼ばれます。もうひとつの違いは、タッピングネジはネジ頭から先端近くまで同じ太さで、先端付近のみが細くなって先端が尖っているのに対し、木ねじは通常、ネジ頭のキワから先端までが全体的にテーパードしており、円錐形に近い形をしている事です。

コーススレッド

コーススレッドの写真
木ねじに似ていて、木材にさらに特化したネジです。ネジ山が木ネジよりも大きくて、ネジ山同士の間隔も広いです。多くのものは、先端が木の繊維を切り裂いて進めるように刃のようにカットされており、針葉樹材やベニヤといった軟らかめい木材ならば下穴を開けずに使用できるように設計されたネジです。インパクトドライバーとの相性がよく、建築の木工事で多用されます。全ネジ/半ネジのいずれのタイプもあります。頭の形状は、ほとんどがラッパ型もしくはラッパ型に刃をつけて頭を材料に埋め込みやすくしたものです。

2016年4月30日土曜日

なぜ1820mmと910mmなのか?

ホームセンターで板や角材などの材料を買うと、1820mmや910mmという寸法で売られているものがとても多いです。1mや2mといったサイズと比べて、中途半端なサイズな気がしますが、なぜでしょうか。
それは、 日本の伝統的な度量衡、尺貫法の「尺(しゃく)」の単位の名残りなのです。
1尺は、ミリメートルに直すと約303.030 mmです。910mmは約3尺で、1820mmは約6尺です。そして6尺は、1間(けん)です。日本の建物は、伝統的に畳が6尺×3尺、柱の間隔は3尺の倍数など、3尺の倍数をユニットとして設計されてきました。そうする事で、建物の使い勝手や建設の効率の向上など、様々なメリットが得られたのです。
人間の体のサイズというのは、大柄な人や小柄な人が居て、様々ではあるのですが、それでもある程度の範囲に収まります。 多くの人が使いやすいと感じる住まいの各所のサイズは、だいたい決まった寸法や距離に集約されてきます。そうした寸法や距離のうち、多くのものの公約数や公倍数になる、ちょうど使い勝手の良い寸法というのがまさに3尺だったのです。
さらに、家の設計は、方眼紙の上で行うと作業効率がよく、 その方眼を3尺に合わせると実に好都合でした。木造建築物の設計では、CADやBIMを使う今日でもなお、3尺☓3尺の方眼のグリッドに合わせて設計するという手法がもっともメジャーな手法です。
一方、ベニヤ板や角材などの材料は様々な使いみちがあるわけですが、そんな様々な使いみちの中でも特に大量に消費されている使いみちと言えば何と言っても建築の用途です。ですから、なるべく建築現場で使いやすいように、1820mmや910mmの単位に合わせて生産されるのです。ホームセンターも同じ材料を仕入れていますので、1820mmや910mmといったサイズの材料が多いのです。
ところで、建設業では、尺貫法の単位は今日でもけっこう使われています。職種別でみると、大工さんは特に尺貫法を使う人が多いです。現場でメートル法ではなく尺寸法の寸法をメインに話しながら仕事をしている職人さんも、時々見かけます。
機会があれば、試しにホームセンターのメジャーや定規などの売り場を覗いてみて下さい。そのような大工さん向けに、尺や寸で表示されたコンベックスや曲尺(さしがね)が売っているのを見つける事ができます。