これに対処するためにどうするのかというと、2回、3回と重ね塗りをすると、だんだんと下の色が透けなくなってきます。プロの塗装屋さんであっても同様に行う場合があります。
さらにプロの塗装屋さんは、1回目、2回目、3回目と、ただ単に重ね塗りをするばかりでなく、材質の異なる塗料で重ね塗りを行うのが通常です。塗料を塗面にくっつきやすくしたり、塗面の素材がもつ色の成分が染み出してくるのを防いだり、サビを防いだり、色をつけたり、光沢を調節したりと、それぞれ違った機能を持つ塗料を選び、はじめからそういう計画を立てて塗っているのです。ここまでやるには若干高度な知識や技術、そして道具や材料が必要です。
また、もうひとつ細かいことを言えば、 場合によっては、何度も塗り重ねるのではなく、一発で厚塗りに仕上げたほうがきれいに仕上がるものもあります。とはいえ、それはプロが塗装する様なケースであり、ホームセンターで手軽に買えるペンキを使い、自作の木工品や古くなった家具の塗り替えをする様な場合は、その様に一発で仕上げた方が良い場合は稀です。ここでは、DIYのビギナーが行う場合の一般的な手法について説明します。
同じ色で塗り重ねる
一回塗ってみて、下の色が透ける場合や、十分に色が付かないと感じる場合、同じ色で塗り重ねてみましょう。塗料の種類によっては、1回目に塗った塗料が乾く前に2回目を塗ってしまうと表面が荒れてしまう場合がありますので、よく注意し、場合によってはよく乾いてから2回目を塗りましょう。オイルステインの様に、塗面に浸透させたり、あるいは塗面の肌合いを残す様なタイプの塗料の場合、2回3回と塗り重ねによって色の付きが濃くなります。しかし一定回数以上塗り重ねても塗り重ねによる変化はあまり分からなくなってきます。塗料の種類や色を選定する時に頭に入れておきましょう。
異なる色で塗り重ねる
塗面の素地の色とは全く異なる色を塗る場合や、鮮やかな色を塗りたい場合に、塗面の元の色が透けて、思い通りの色に仕上がらない場合があります。この場合、例えば白の塗料などで下塗りすると、思った通りの色に仕上がる場合があります。ただし、必ず白で下塗りをすると思った通りの色に仕上がるとは限らないので難しい所ではあります。
ひとつの選択肢として頭に入れておくと良いでしょう。
また、少し意味合いは異なりますが、上に書いた通り、プロは機能の違う塗料で重ね塗りをします。その時に、塗り忘れを防ぐために、塗った部分とまだ塗っていない部分とを区別しやすい様に、わざと少し違う色の塗料を選択する場合がよくあります。
材質の異なる塗料で塗り重ねる場合
DIYで行うには、少し高度なプロの技法です。一般的には、
- 下塗り→中塗り→仕上げ塗り
- 下塗り→仕上げ塗り
2回塗りの場合、上塗りには、目的の色を表現するための塗料を使います。
下塗りの選び方として、
- 木やコンクリートなど、染み込む素材→「シーラー」という塗料を使う
- 金属やガラスなど、染み込まない素材→「プライマー」という素材を使う
シーラーは、細かい穴を埋めて塗料の染み込みを止めたり、素材からの色素成分の染み出しを防いだりという機能があります。プライマーには、ツルツルして塗料が定着しにくい塗面にしっかりとくっつき、仕上げ塗料を剥がれない様に乗せるという機能があります。
さらに、塗料の材質によって、塗面との相性、塗料同士の相性、耐久性などの違いがありますが、高度な話になるので別の機会にします。