2016年4月30日土曜日

なぜ1820mmと910mmなのか?

ホームセンターで板や角材などの材料を買うと、1820mmや910mmという寸法で売られているものがとても多いです。1mや2mといったサイズと比べて、中途半端なサイズな気がしますが、なぜでしょうか。
それは、 日本の伝統的な度量衡、尺貫法の「尺(しゃく)」の単位の名残りなのです。
1尺は、ミリメートルに直すと約303.030 mmです。910mmは約3尺で、1820mmは約6尺です。そして6尺は、1間(けん)です。日本の建物は、伝統的に畳が6尺×3尺、柱の間隔は3尺の倍数など、3尺の倍数をユニットとして設計されてきました。そうする事で、建物の使い勝手や建設の効率の向上など、様々なメリットが得られたのです。
人間の体のサイズというのは、大柄な人や小柄な人が居て、様々ではあるのですが、それでもある程度の範囲に収まります。 多くの人が使いやすいと感じる住まいの各所のサイズは、だいたい決まった寸法や距離に集約されてきます。そうした寸法や距離のうち、多くのものの公約数や公倍数になる、ちょうど使い勝手の良い寸法というのがまさに3尺だったのです。
さらに、家の設計は、方眼紙の上で行うと作業効率がよく、 その方眼を3尺に合わせると実に好都合でした。木造建築物の設計では、CADやBIMを使う今日でもなお、3尺☓3尺の方眼のグリッドに合わせて設計するという手法がもっともメジャーな手法です。
一方、ベニヤ板や角材などの材料は様々な使いみちがあるわけですが、そんな様々な使いみちの中でも特に大量に消費されている使いみちと言えば何と言っても建築の用途です。ですから、なるべく建築現場で使いやすいように、1820mmや910mmの単位に合わせて生産されるのです。ホームセンターも同じ材料を仕入れていますので、1820mmや910mmといったサイズの材料が多いのです。
ところで、建設業では、尺貫法の単位は今日でもけっこう使われています。職種別でみると、大工さんは特に尺貫法を使う人が多いです。現場でメートル法ではなく尺寸法の寸法をメインに話しながら仕事をしている職人さんも、時々見かけます。
機会があれば、試しにホームセンターのメジャーや定規などの売り場を覗いてみて下さい。そのような大工さん向けに、尺や寸で表示されたコンベックスや曲尺(さしがね)が売っているのを見つける事ができます。