水平器は、水平を測るための測定工具です。まっすぐな測定面を測定箇所に当て、オイルなどの液体を密封したチューブの気泡の位置から水平の度合いを読み取ります。ものづくりの世界では、機能上求められる場合のみならず、美観の点からも、水平がきっちりと仕上がっている事は大切にされるポイントのひとつです。
殊に日本人は、仕上がりの美しさについて敏感です。多くの外国の人々が気にしない様な些細な歪みにも気づき、気になってしまう人が多い傾向にある様です。
プロの仕事に限らず、DIYのものづくりでも、きっちりとした水平が出ている作品は、そうでない作品に比べ、ワンランク上の仕上がりをきっと感じさせるでしょう。
水平を測る工具は水平器だけでなく、他にも色々ありますが、中でも水平器は入手や取扱いが手軽です。そして手軽でありながら、プロの職人にも様々な場面で利用されています。
ものづくり以外でも、家庭では例えば、鏡、ウォールキャビネット、絵画やポスター、タオルハンガー、トイレットペーパーホルダーなど、壁に様々なものを取り付ける時に活用すれば、美しく取り付ける事ができます。
用途
水平の度合いを測る
水平の度合いを測ります。製品によって、複数のチューブが取り付けられていて垂直も測る事のできるものや、チューブの中心からの気泡の離れ具合によって勾配の度合いを知る事ができるものもあります。
選ぶポイント
サイズ
ポケットサイズのものから、 1mを超える大型のものまであります。大きなものは精度の高い測定が可能です。しかし大きいものは狭い場所での使用や、トイレットペーパーホルダーなどの小型のものの位置決めなどに使いづらい事があります。一方、ポケットサイズなどの小さなものは、携帯性に優れている反面、測定精度の高さは望めません。しかしもちろん、それほど高い精度でも良い場合は、十分役に立つ場合もあるでしょう。特に用途が決まっておらず、常備しておくためのはじめの1本を選ぶのなら、長さ150mm~450mm程度の範囲で選ぶと、比較的幅広く使い回しが利くでしょう。
チューブの数
測定面について水平(0°)を測る以外に、90°や45°を測定できるように複数のチューブが取り付けられているものもあります。例えば90°を測れるものは、板や棒をまっすぐ立てたい場合などに利用することができます。
マグネット
測定面にマグネットが取り付けられていて、鉄の面にくっつくものもあります。鋼製下地やスチールラックの組み立てなどの作業で特に便利です。
関連する工具
丸型気泡管
円形の容器の気泡を上から見て、360°の水平を測定する事ができます。
勾配計
水平だけでなく、1/50や1/100の勾配を測定するためのチューブが取り付けてあります。排水の配管工事などでよく使われます。
下げ振り
糸の先に先端の尖ったおもりが付いた道具です。先端の尖った部分が糸の延長上に来るようにできています。糸が鉛直方向の直線を示し、おもりの先端は吊るした根元の鉛直の真下を指します。水平器にも鉛直を診る事のできる製品が多いです。しかし下げ振りも水平器もどちらも使用できる状況であれば、一般的には下げ振りを選択した方がより精度の高い測定ができます。
レーザー墨だし機
本体に取り付けられた円形気泡管で大まかに水平に設置すると、内蔵のジャイロで自動的に水平、鉛直真下、垂直などレーザー光で板状や線状に照射します。レーザー光が当たった面は、ラインが引かれた様に見えます。精密で高価な機器ですが近年は低価格化と普及化が進行中です。
水盛缶
水面が水平になる性質を利用して、水を貯めるタンクと透明チューブで水平面を測定します。たくさんの水を汲む必要があり、取扱い手順が若干面倒ではあるものの、適切に使用すれば精密機器であるレーザー墨だし機よりも信頼性の高い水平が測定できると今なお言われています。最近は専用の工具がほとんど作られなくなっており、コック付きのボトルやタンクに透明ホースを接続して使うなどの場合が多いです。
プロの現場でよく使われるブランド
エビス、アカツキ製作所、新潟精機、シンワ測定、TJMデザイン(タジマ)、ムラテックKDS、トラスコ中山など